知覚過敏について

知覚過敏(ちかくかびん)は、正式には「象牙質知覚過敏症」と呼ばれ、冷たいもの・熱いもの・甘いもの・酸っぱいもの、または歯ブラシの刺激などに対して、一時的な鋭い痛みが歯に生じる状態を指します。ズキッとする痛みやキーンとする痛みで表現される事が多いです。

■ 原因

知覚過敏は、歯の内部の「象牙質」が露出することで起こります。歯の表面はエナメル質という固く真っ白な組織ですが、象牙質はその内側の少し黄色っぽい所です。摩耗した歯や歯肉が退縮した所に見られます。象牙質には無数の「象牙細管(ぞうげさいかん)」という細い管があり、その先にある歯髄(神経)に刺激が伝わりやすくなるためです。

象牙質が露出する原因には以下のようなものがあります:
1. 歯ぐきの後退(歯肉退縮)
• 加齢、歯周病、強いブラッシングなどで歯ぐきが下がると、歯の根元の象牙質が露出します。
2. エナメル質の摩耗や破損
• 歯ぎしり、咬み合わせの異常、硬いものの咀嚼、強すぎるブラッシングなどによってエナメル質が削れ、象牙質が露出します。
3. 酸蝕症(さんしょくしょう)
• 酸性の飲食物(炭酸飲料、柑橘類、酢など)により、エナメル質が溶けると、象牙質が現れます。

■ 症状
• 冷たいもの・熱いものを口にしたときの「キーン」とした痛み
• 歯ブラシの毛先が当たったときの刺激
• 甘味や酸味への敏感な反応

※いずれも一時的な痛みが特徴です(持続的な痛みは虫歯や神経の炎症の可能性あり)。

■ 治療法

知覚過敏の治療は、原因と程度に応じて異なります。軽度の場合は虫歯のように進行性のものではない為処置の必要はありません。
1. セルフケア
• 知覚過敏用歯みがき粉の使用(硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどの成分が神経の伝達をブロック)

•フッ素の応用 フッ素濃度の多い歯磨き粉の使用、フッ素入りうがい薬の使用

•食生活の改善。酸性度の高いものを控える。糖分(アメ、ジュース)が長時間お口に残らないようにする
• 柔らかい歯ブラシの使用
• 正しいブラッシング方法の実践
2. 歯科医院での処置
• 脱灰部位への薬剤塗布(知覚を抑える成分)
• レジンやコーティング剤の塗布による象牙質の保護
• 重症の場合:根管治療(神経を取る)

■ 予防
• 正しいブラッシング(横磨きでなく、歯ぐきに優しい縦磨き)
• 酸性飲食物を摂った直後の歯磨きを避ける(歯が軟らかくなっているため)
• 歯ぎしり対策(マウスピースなど)

以上お困りの時は歯科医にご相談ください。