歯科用金属のアレルギー

歯科金属アレルギーとは

歯科治療に使用される金属(詰め物や被せ物など)が原因でアレルギー反応を引き起こす状態です。金属アレルギーは全身の症状として現れることもあり、歯科金属アレルギーも全身性に影響を及ぼす場合があります。

主な症状

歯科金属アレルギーの症状は、口腔内だけでなく全身に現れることがあります。

口腔内の症状

•粘膜炎症:頬の内側や舌の炎症、赤み、腫れ。

•口内炎:痛みを伴う潰瘍が繰り返しできる。

•金属の味:口の中で金属味を感じる。

•白斑・紅斑:粘膜に白っぽい斑点や赤みが見られる。

全身症状

•皮膚炎(接触皮膚炎や湿疹):顔や手、首などに湿疹やかゆみが現れる。

•慢性湿疹:アトピー性皮膚炎と類似した症状が出ることも。

•全身の倦怠感:アレルギーが全身の免疫反応を引き起こす場合。

原因

歯科金属アレルギーは、金属が唾液や体液に溶け出し、イオン化して体内に吸収されることで発症します。体内の免疫システムがこの金属イオンを異物と認識し、アレルギー反応を引き起こします。

アレルゲンとなりやすい金属

•ニッケル:特に女性でアレルギーを引き起こしやすい。

•コバルト:合金に含まれることが多い。

•クロム:耐久性を高めるために使用される。

•パラジウム:金属アレルギーの主因になりやすい。

•金(ゴールド):稀にアレルギーを引き起こす。

•銀や銅も原因となる場合がある。

診断方法

1.問診

症状の経過や既往歴、使用している歯科材料を確認します。

2.パッチテスト

皮膚に金属を貼り付け、48~72時間後に反応を確認。特定の金属に対するアレルギーが検出されます。(パッチテストは当院では実施しておりません。大学病院等のご紹介となります。)

3.口腔内診察

金属修復物の状態や口腔内の炎症を確認します。

治療方法

1.原因となる金属の除去・交換

アレルギーの原因となる金属を、セラミックやレジンなど非金属材料に置き換えます。

2.アレルギー症状の緩和

皮膚炎や湿疹がある場合は、アレルギー内科により抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を使用。

3.生活習慣の改善

免疫力を高めるために、バランスの良い食事やストレス管理を心掛けます。

予防

•非金属材料の選択

初期治療の際に、セラミックやジルコニアなど金属を使わない材料を選ぶことでリスクを減らせます。

•定期検診

金属が劣化しないか、口腔内の状態を確認するために歯科医で定期的に診てもらいましょう。

歯科金属アレルギーは一度発症すると症状が長引くことが多いため、早期の診断と適切な治療が重要です。症状が気になる場合は、歯科医や皮膚科医に相談してください。